人革速報

新人間革命での池田先生のご指導に学ぶブログです。

新人間革命 雄飛(40)|2017年8月1日

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 七月下旬、山本伸一は、「忘れ得ぬ同志」と小説『人間革命』を担当する「聖教新聞」の記者たちと、神奈川研修道場で打ち合わせを行った。彼が、『人間革命』の連載再開を告げると、編集担当者は驚いた顔をした。そして、ためらいがちに話し始めた。
 「読者は、大喜びすると思います。しかし、宗門の若手僧たちは大騒ぎし、先生が格好の標的になってしまうのでは……」
 こう言って口ごもった。
 すかさず、伸一は強い語調で語り始めた。
 「そんなことはわかっているよ。今、大事なことは、私がどうなるかではない。守るべきは同志です。学会員は、非道な僧や、それに同調する人間たちから、冷酷な仕打ちを受け続けても、じっと堪え、広宣流布のため、学会のために、健気に、一途に、懸命に頑張ってくださっている。
 私の責任は、仏子である、その学会員の皆さんを守ることだ。勇気の光、希望の光、確信の光を送り、皆が自信と誇りをもって、使命の道に邁進していけるようにすることだ。そのために私がいるんです。
 したがって、今だからこそ、『人間革命』を書かなければならない。それが私の戦いなんだよ。いいね。わかるね」
 記者は、大きく頷いた。
 伸一は、笑みを浮かべ、言葉をついだ。
 「できるだけ早く始めたいんだ。挿絵を担当してくださっている画伯とも、至急、連絡を取ってほしい。また、実は今、肩が痛くて腕が上がらないんだよ。すまないが、場合によっては、口述を書き取って連載するようにしてくれないか」
 この一九八〇年(昭和五十五年)の夏、関東地方は長雨で、蒸し暑い日が続いていた。伸一は、前年からの疲労が重なっており、その天候が体にこたえた。しかし、彼は燃えていた。胸には闘志があふれていた。
 「正義は必ず勝つという信念のみが、私たちを鼓舞する」(注)とは、マハトマ・ガンジーの魂の言葉である。

 小説『新・人間革命』の引用文献
 注 『マハトマ・ガンジー全集 68巻』インド政府出版局(英語)